「癌遺伝子=pp60v-src」-説明
1911年、P.Rousにより、鶏にがん(肉腫)を発生させるウイルスが発見され発見者の名をとり、Rous=ラウス肉腫ウイルス(レトロウイルス)と命名された。
その後の研究により、このウイルスには、自身の増殖に関する遺伝子以外に細胞を癌化に導く遺伝子が存在することが判明した。その遺伝子こそが、癌遺伝子=pp60v-srcと呼ばれるものである。
本来は、細胞の中にあって正常な働きをしていた遺伝子がウイルスに取り込まれて変異し、癌遺伝子となったものと理解される。
世界で初めて、癌を起こす遺伝子として発見された このpp60v-srcは研究者の注目を集め、その研究成果は発癌機構(がん細胞誕生のしくみ:イラストで解説)の解明に大きく貢献した。